51%五割一分とCASA DEの共催により、近年世界的な再評価が進む建築家ジェフリー・バワの家具に焦点を当てた企画展「ジェフリー・バワ展 ― トロピカル・モダニズムの家具 ―」 を、神戸・旧居留地にある Vague Archives にて開催いたします。
ジェフリー・バワ(1919–2003)は、スリランカを代表する建築家として知られ、豊かな自然を取り込みながら近代建築の理念を熱帯の風土に適応させた「トロピカル・モダニズム」を確立しました。その思想は今日、建築にとどまらず、工芸、ランドスケープ、インテリアに至るまで広く影響を与えています。
本展は、バワが自ら設計した建築のために制作した家具に着目し、世界初となる復刻プロジェクトと連動して開催されるものです。復刻は、ジェフリー・バワ財団およびアトリエに残された図面、スケッチ、プロトタイプをもとに、インド・バンガロールの工房 Phantom Hands が手がけ、現代に新たな命を吹き込んでいます。会場では、復刻された家具作品に加え、バワ財団所蔵の貴重なアーカイブ資料を展示し、バワが追求した空間思想と家具との関係性を紐解きます。
また、制作背景への理解を深めていただく機会として、5月1日(金)にトークイベントを開催します。ジェフリー・バワ財団長の Channa Daswatte 氏、Phantom Hands 創設者の Deepak Srinath 氏と Aparna Rao 氏をお招きし、貴重なお話を伺います。同日にはオープニングレセプションも合わせて開催。Vague Kitchen による軽食とドリンクをご用意しています。(抽選申込制 / 申込締切:3月31日)
これまで語られる機会の少なかったバワの家具を通して、そのデザイン理念とスリランカの歴史的背景に触れていただく貴重な機会です。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
企画展 「ジェフリー・バワ展 -トロピカル・モダニズムの家具-」
会期|2026年5月2日(土)-5月11日(月)
*休廊日5月5日(火)-5月7日(木)
11:30-18:00 (入場17:30まで)
会場|Vague Archives
兵庫県神戸市中央区海岸通9番2号 チャータードビル3階
主催|株式会社五割一分 / ART MODERN JAPAN 株式会社
企画協力|Geoffrey Bawa Trust / Phantom Hands
2026年5月1日(金) トークイベント&レセプション
*抽選申込制です (申込締切:3月31日)
プレビュー 16:00-17:30
トークイベント 17:30-19:00
レセプション 19:30-21:00
*Vague Kitchenによる軽食とドリンクをご用意
会場|
Vague Archives
兵庫県神戸市中央区海岸通9番2号 チャータードビル3階
トークイベント登壇者|
Channa Daswatte(Geoffrey Bawa Trust 財団長)
Deepak Srinath(Phantom Hands 創設者)
Aparna Rao(Phantom Hands 創設者)
お申込みについて|
5月1日(金)のトークイベント&レセプションは事前申込制となります。
申込者多数の場合は、抽選とさせていただきます。
下記のフォームよりお申込みください。
申込締切:2026年3月31日(火)
建築と工芸がゆるやかに交差するバワの世界観の背後には、植民地期から独立へと向かうスリランカ(旧セイロン)が模索してきた、文化的アイデンティティの再構築という大きな背景があります。多民族社会が抱える複雑な歴史、仏教文化に根ざした精神性、そして熱帯の風土のなかで培われてきた暮らしの知恵。これらは20 世紀半ば、国家として描かれた新たな方向性と呼応しながら、デザインや建築のあり方に深く影響を与えていきました。
バワはこの歴史的転換期において、西洋近代建築を単に受容するのではなく、島の風景や手工芸、人びとの生活感覚と結び直すことで、独自の文化表現であるトロピカル・モダニズムを形成しました。その思想は、彼が建築のために設計した家具にも静かに息づいています。
ジェフリーバワ | Beoffrey Bawa (1919-2003)
スリランカの建築家ジェフリー・バワは、熱帯という風土とモダニズムを融合させた「トロピカル・モダニズム」の先駆者として広く知られています。アジアにおける地域主義建築の重要な潮流を築き上げた存在であり、その思想は今日の建築界においても高く評価されています。
1919 年、スリランカ(当時のセイロン)のコロンボに生まれたバワは、イギリスのケンブリッジ大学で法律を学んだのち、弁護士としての道を歩み始めます。しかしその後、建築への関心を深め、ロンドンのAAスクール(建築協会建築学校)で建築を学び直しました。正式に建築家として登録されたのは38 歳のときで、比較的遅咲きのスタートでした。
帰国後の1950 年代後半から本格的に活動を開始し、やがてスリランカ各地で数多くの公共施設、宗教建築、ホテル、教育機関、個人住宅などを手がけるようになります。代表作には、彼自身の実験の場であった住居兼アトリエ「No.11」や、「ベンドタ・ビーチ・ホテル(1967)」、「カンダラマ・ホテル(1994)」、さらにはスリランカ国会議事堂(1982)などが挙げられます。
バワの建築は、気候、地形、植物、既存の建物といった「その場所の文脈」に対する深い洞察をもとに設計されています。空間の構成においては、外部と内部を柔らかくつなぐ構造を得意とし、回廊、池、庭園などを通じて緩やかな境界を生み出しました。自然光や風の流れを巧みに取り込み、時の移ろいとともに表情を変える空間は、建築と環境との共生を実現しています。
また、素材の選定においても、現地の石材や木材、漆喰などを積極的に用いながら、職人たちとの協働を通じて質の高いディテールを追求しました。その一方で、植民地時代の宗教施設や修道院の保存・再生プロジェクトにも取り組み、建築文化の継承にも貢献しています。
建築にとどまらず、庭園や家具、グラフィックデザインに至るまで、バワは総合的な空間演出にこだわりを見せました。その空間は、単なる視覚的な美しさだけでなく、人が自然とともに過ごすための「居場所」としての豊かさを宿しています。
彼の建築思想は、地域性と普遍性のあいだをたゆたうものとして、多くの後進の建築家やデザイナーに影響を与え続けています。ジェフリー・バワは、「建築とは環境との対話であり、そこに生きる人々の営みを支えるものである」という視点を、静かに、しかし力強く提示し続けた建築家でした。